「納品された抜型で裁断したら、製品の表面に傷がついてしまった…」
「カットした生地や革の端に糸が絡まったり、引きつれが起きたりする…」
抜型を使った製品加工において、こうした裁断時のトラブルや製品不良は絶対に避けたいところです。実は、これらのトラブルの原因の多くは、抜型の製作過程における「仕上げ処理の精度」にあります。
連載第3回となる今回は、現場で最もクレームに繋がりやすいポイントと、それを未然に防ぐ弊社の品質管理・仕上げのこだわりについて解説します。
1. 裁断時の引っかかりを防ぐ!「叩き込み」と「ヤスリ擦り込み」
抜型の刃には、曲げ加工の際に生じる「継ぎ目(つなぎ目)」やコーナー部分が存在します。この継ぎ目部分の処理が不十分だと、裁断時に深刻な品質トラブルを引き起こします。
- ハンマーによる叩き込み:
溶接後、刃の継ぎ目部分をハンマーで巻き込むように叩き込んで密着させていきます。この叩き込み作業によって、微細な隙間やズレを完全に無くします。 - 叩き込み不足が招くトラブル:
もし叩き込みが甘く隙間が残っていると、裁断時に生地の繊維や革の銀面(表面)が挟まり、引っかかりや引きつれが発生してしまいます。 - ヤスリによる仕上げの擦り込み:
叩き込んだ部分は、その後ヤスリを使って丁寧に擦り込み、刃線が滑らかに一続きになるよう研磨します。
手で触れても継ぎ目が分からないほど滑らかに仕上げることで、繊細な生地や柔らかいレザーでも美しくスッと抜ける刃型へと仕上がります。
2. 製品の傷・不良を防ぐ!「スパッタ(溶接カス)の徹底除去」
抜型製作の中で、最もクレーム発生率が高く、同時に最も注意を払っているのが「スパッタ(溶接の玉・カス)の除去」です。
| 項目 | 詳細と注意点
|
|---|---|
| スパッタとは? | 補強サンや継ぎ目を溶接する際、高熱で飛散した金属の粒(カス)が型の表面や刃先に付着する現象です。 |
| 付着したまま放置するリスク | 特に「刃先」や「刃の内側」にスパッタが付着したままプレスを行うと、打ち抜いた材料(革・布・フィルム等)の表面を傷つけてしまいます。 |
| 弊社の除去プロセス | 溶接工程が終わった後、専用の工具や各種ヤスリを使い、型全体・刃先の隅々に飛んだスパッタを職人の目で1個ずつチェックしながら丁寧に取り除きます。 |
目立たない作業ですが、お客様の製品素材(高価な革や精密フィルムなど)を傷つけないための絶対に必要な品質保証工程です。
まとめ:見落とされがちな「仕上げ」にこそ抜型の価値が出る
抜型は「形が合っていれば良い」というものではありません。実際に現場で使われた際に、「素材を傷つけないか」「引っかからずに作業効率が上がるか」までを考慮して仕立ててこそ、真のプロの仕事です。
コイケ金型では、クレームになりやすい「叩き込み」と「スパッタ除去」に最大限の注意を払い、届いたその日から安心して使える高品質な抜型をお届けしています。
次回はシリーズ前半の締めくくりとなる「公差±0.5mmを守る検品工程と、試し抜き・防サビ処理」についてご紹介いたします。
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